ライン川のほとりから
ドイツと日本をつなぐ 3 年間
第2回 ドイツにある日本の学校
海外には、日本に住む子どもたちと同じように日本の教育を受けることができる「日本人学校」があります。ドイツに は、デュッセルドルフ、フランクフルト、ミュンヘン、ベルリン、ハンブルクの 5 校があります。私が勤務していた「デュッセル ドルフ日本人学校」には、小学部と中学部を合わせて約450名の児童生徒が在籍していました。日本の学習指導要 領に基づき、日本の教科書を使って、日本語で授業を行う一方、海外にある学校ならではの学びもたくさんあります。 例えば、日本の学校ならではの行事である「運動会」。デュッセルドルフ日本人学校では、現地校に通いながら日本 語を学ぶ「補習授業校」の子どもたちも参加し、一緒に運動会を行います。中学部の生徒が中心となって、小学部の 児童と一緒に運動会を作り上げていき、日本の学校文化を大切にしながら、海外で暮らす子どもたちが日本らしい行 事を体験する貴重な機会です。参加児童生徒約700名で行う「ソーラン節」は、まさに圧巻の光景です。 一方で、ドイツの文化を学校生活に取り入れた活動もたくさんあります。例えば、ドイツの冬の風物詩の一つが「カー ニバル」です。街中の人々が思い思いの仮装をしてパレードを楽しむ、ドイツならではのお祭りです。日本人学校でも、 カーニバルの日には、子どもたちも教職員も仮装して登校します。いつもの学校が、まるで別世界になったような一日 です。
小学部の生活科では、実際にドイツの街を舞台にした「街たんけん」も行われます。授業で学んだドイツ語を使って、
お店で買い物をしたり、質問をしたり、現地の人とやり取りをします。教室で覚えた言葉を実際の生活の中で使うこと
で、ドイツ語が「勉強するもの」から「人とつながるための言葉」へと変わっていきます。
また、現地の姉妹校とは、英語科のディベート授業や、体育の交流活動などたくさんの交流活動も続けられています。
「一日交換留学」も行われていて、お互いの学校を訪問し、それぞれの授業や学校生活を体験します。パートナーとな
った生徒同士が互いの家庭に一泊し、ホームステイを経験することもあります。普段とは違う環境で一日過ごすこと
で、言葉や文化の違いをより身近に感じることができます。
日本の教育を受けながら、ドイツで暮らし、現地の言葉や文化にも触れる。日本の文化を大切にしながら、ドイツの文
化を知り、実際に体験する。その両方があるからこそ、子どもたちは「日本と違う」ということを知り、その違いを受け止
められるようになっていくのだと思います。
『違いを知り、受け入れ、共に生きる。』様々な体験や人との出会いを通して、
互いの違いを認め合うことの大切さを学ぶ。そんな経験の積み重ねが、
「真の国際理解」につながっていくのかもしれ
ません。 それが、私が3年間勤務したデュッセルドルフ日本人学校での学びでした。
菊地 朋子
2026.10